主要作者 | 黃 尊三 |
Huang, Tsun-san | |
書名/作者 | 清國人日本留學日記 : 一九0五-一九一二年 / 黃尊三著; さねとラけいしゆラ,佐藤三郎譯 |
出版項 | 東京都 : 東方, 1986[昭和61] |
版本項 | 初版 |
著者の黄尊三は 1883年に中国湖南省に生まれ、長沙の高等学堂で勉学中、1905年に公費留学生として来日し、弘文学院、早稲田大学を経て明治大学を卒業し、1912 年に帰国した学徒である。その経緯の中には、当時の清国の事情があった。つまり、清国では、日清戦争の敗戦の結果、国勢を立て直すことが急務であると考え られ、日本に国費で留学生を派遣して近代文化の摂取を行う国策がとられた。黄は日本留学がピークであったころに来日したので、彼が書き残した留学日記は黄 という一人の人物の生活記録を超えて、当時の在日清国人社会の動きを知る上で貴重な文献となっている。
著者の黄尊三(こうそんさん)は来日後、弘 文学院、正則英語学校、早稲田大学を経て、1912年明治大学法学部を卒業。帰国後、江漢大学、中国公学、中国大学・法制学校、民国大学などで、主に法 学・政治学を講ずる。『民治日報』『大公論』の創刊に携わったほか、『法学通論講義』『社会主義論』『経済学』など論著多数ある。訳者の実藤恵秀(さねと う けいしゅう)は1896年広島県生まれで、1926年早稲田大学文学部卒業、1930年東京外国語学校卒業。早稲田大学教授、聖徳学園短期大学教授を歴 任。1985年死去。『日中友好百花』(東方書店)のほか、『大河内文書』、黄遵憲『日本雑事詩』(共訳)など著訳書多数ある。また、佐藤 三郎(さとう さぶろう)1912年山形県生まれで、1934年東京帝国大学文学部卒業。北京近代科学図書館司書、山形大学教授、山形県議会史編纂委員、国士舘大学教授 を歴任。『中日文化論集』(共著)『近代日中交渉史の研究』など論著が多数ある。
構成
まえがき(佐藤三郎)/原序(周震鱗)
1 日本留学への門出(明治38年5月~6月)
出発/跪拝の礼紛争/上海での待機/渡海/日本に到着
2 弘文学院在学(明治38年6月~明治39年4月)
弘 文学院/辮髪を切る/荷物の検査/校医の診断/留学生の自治制限に対する反対運動/日本の風呂屋/科挙廃止/地震/上野公園/運動会・観艦式/同郷人の中 傷/留学生の犯罪事件/砲兵工廠/満24歳の感/留学生取締規則事件/滝野川紅葉見物/同盟休校/陳天華の自殺/一斉退学帰国/(第1回帰国行)/東京に 帰着
3 正則英語学校在学(明治39年4月~7月)
正則英語学校に入学/勉学上の覚悟/上野の桜見物/日本の火事/正則英語学校/中国公 学/靖国神社/学友の危篤/学友の死去/日本語家庭教師を依頼/遺精/神田の書店街/浅草/凌雲閣に登る/転居/朝日新聞/日本歴史を訳す/『王陽明学 案』/革命の夢/早稲田大学入学を希望
4 早稲田大学在学(明治39年9月~明治42年9月)
清国留学生部普通予科に入学/転居/早稲田 大学/日比谷公園/英語家庭教師を依頼/留学生間の交際/日本語学力の不足/神楽坂/弟に教科書を送る/日本の知識階級の生活苦/革命軍の澧陵挙兵/革命 党の檄文/順天堂病院/陽暦に改める/友人の死を悼む/『紅楼夢』観/日記の書き方を改める/高等予科を受験/転居/宋教仁を訪問/財布を掏られる/転居 /背骨と腰に激痛/特別予科に進学/下宿の娘の親切/大隈重信と早大/新公使との対面/転居/日本学生の向学心/日本人の年賀習俗/格言翻訳の効果/日本 の婦人/特別予科卒業試験合格/女子美術学校/日本人の民族性/高等予科入学式/向島に桜見物/転居/月琴を稽古/日本の夜店/良友の忠告/転居/反省/ 留学生の生活費/月琴のトラブル/転居/学費通帳を抵当に借金/騒音トラブルでまた転居/日本の演劇/自己の境遇を回顧/芝公園/孫中山歓迎大会/高等予 科卒業試験に失敗/転居/脳病の治療/中国教員志望の日本人友人/日本の小説「不如帰」/煩悶の心境/学校の選択/留学生活の予算/転居/黄兆祥の救出活 動/明治大学を受験
5 明治大学在学(明治42年9月~45年7月)
昨夜の夢/転居/明治大学に合格/熊芷斎の友情/伊藤博文の暗殺/日 本兵士の士気/転居/留東学生大会/歳末の反省/大いに反省/『地方自治雑誌』の編集/転居/留学生の発表会/留学生通帳を抵当に借金/転居/汪兆銘の摂 政王襲撃/遊び道具を売却/長沙の暴動/個人的自治規則を作る/荘厳居/転居/友人某の中傷/一時帰国を考慮/(第2回帰国行)/寝室に怪しい女/留学生 学術発表演説会/転居/国会開設の上諭/学問研究の方針/28歳誕生日の感/胡君出獄歓迎会/留学生通帳を友人に貸す/転居/決意書/修養日記に倣う/政 府、請願代表を流罪に/李鴻章/幸徳秋水事件/交通事故で怪我/中国に人間はいないのか/日本は子々孫々までの仇/友人との革命論争/対外学生大会/宋遯 初(教仁)/日本の学生と試験/片瀬に避暑/暴風雨の被害/帰国する友人の日本妻/大森での海水浴/夏休み中の生活予定/転居/留学生の性欲問題/転居/ 救国論/四川省の鉄道騒動/武昌の革命軍/帰国の決心/帰国旅費問題/(第3回帰国行)/東京に帰着/転居/名利をあさる「革命家」/転居/大森旅行/明 治大学を卒業/鮨の御馳走
6 帰国(明治45年7月)
付録:帰国後の黄尊三
あとがき(さねとうけいしゅう)
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