2007年10月18日 星期四

The Book of Tea 『茶の本』

岡倉天心
『茶の本』
村岡博訳岩波文庫1929 桶谷秀昭訳講談社学術文庫1994
Tenshin Okakura: The Book of Tea 1906
村岡博訳・桶谷秀昭 訳


[表紙]『茶の本』
© 岩波書店

{茶之書茶道美學}許淑真譯注,桃園:茶學文學出版社,1985




茶の本 THE BOOK OF TEA

『THE BOOK OF TEA 茶の本』

岡倉覺三 著 / 村岡 博 解説注釈


新装復刻版
ISBN 4-327-38508-5 C3082
定価2,039円(本体1,942円+税)
四六判 上製  120頁
刊行年 1906/1992

 茶の会に関する閑談や感想を通して人道を語り、老荘思想と禅を説き、芸術の鑑賞にも及ぶ。著者の岡倉覺三(天心)は日本美術院の創設者としても有名。







茶の本
THE BOOK OF TEA
1906年(明治39年)
岡倉天心によって英文で執筆され
同年ニューヨークで出版
当時ボストン美術館に勤務、
天心44才の時



表紙
第1章 こころの茶
第2章 茶の流れ
第3章 道家思想と禅
第4章 茶室
第5章 芸術鑑賞
第6章 花
第7章 茶の宗匠
茶の本_日本語朗読
Reading
THE BOOK of TEA
天心の世界
メモリアルズ


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■岡倉覚三(天心)著『茶の本』(新潮文庫)藤田一咲

 ぼくは20歳になって、すぐに日本を飛び出した。自分が生まれ育った日本が、とても窮屈な場所に感じていたからだ。もっと世界に目を向け、外国で学び、行く末は世界の中心的な大都市での成功を夢見ていた。ライフスタイルも考え方も西洋化された〈国際人〉になろうと考えていたのだ。それは、生まれたときから洋服を着て、西洋風に育った自分にはとても自然で現代的な生き方だと思っていた。

 そんな自己西洋化計画のまっただ中のある日、ぼくはパリの書店で一冊の日本語の本と偶然出会った。そしてその場で一気に読んだ。そのくらいこの本は薄かった。だが、肩からは力が抜け、西洋ばかり意識していた目からはウロコがポロポロと落ちた。ぼくの自己西洋化計画とは、現代的でも何でもない、カッコ悪い、ただの西洋かぶれだと思い知った。その時、手にしていた本が『茶の本』だった。

 『茶の本』は、今から100年前にニューヨークで出版された英文の本。「茶」にまつわる話を通して日本人の美意識や、東洋の精神の美しい面について、西洋人に分かりやすく書いたものだ。だが、それはまた、西洋化していく当時の日本人へ、忘れてはならないものを伝える心のメッセージでもあった。その祈りにも似た熱いメッセージは、若かったころのぼくや、今日の日本人にも届く。


 『茶の本』は日本人の、外の世界、西洋に向けられるまなざしを東洋、日本に振り返らせ、さらに自己の内側を見つめることの大切さを説いた。それは外へ外へと向けられた精神を内へ内へと向かわせ、ついには宇宙とつながる雄大な心の旅の物語でもある。この本の本当の素晴らしさは、東洋や西洋を越えた、一人の人として人生を美しく生きる術、知恵が書かれている点なのだ。ぼくの生き方を変えたこの本を今年、自分の写真でビジュアル本として出せたことを幸せに思う。

 (フリーカメラマン・藤田一咲=ふじた・いっさく 東京都生まれ。雑誌の取材や広告などノンジャンル・フリーカメラマン。写真集や写真・カメラ関係の本のほか、『茶の本』の抜粋現代語訳ビジュアルブック『本のお茶』(角川書店)など著書多数)

 〈メモ〉 著者の岡倉覚三(天心)は東京美術学校校長(現・東京芸大)を務め、日本美術院を創設し、米・ボストン美術館にも勤務した。明治39年に出版された『茶の本』(英題「THE BOOK OF TEA」)の第1章には、「いつになったら西洋が東洋を了解するであろう、否、了解しようと努めるであろう」とある。

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